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加賀井温泉
  長野県長野市松代町。長野電鉄が走るこの町の松代駅のそばに松代温泉という集落があり、旅館や安価な公衆浴場を併設する公民館などがあります。そして松代温泉の中には独自源泉を持つ「加賀井温泉」という一軒宿の温泉がありますが、実はこの“加賀井”という地名こそ元々はこの辺りの地名で、古くはここからわずか数キロ離れた場所で今から500年ほど前に起こった骨肉を削る争い「川中島の戦い」においても武田信玄が傷ついた傷病兵の湯治に加賀井の湯を用い、「信玄の隠し湯」の一つであったと言われるほど、昔から知られた温泉であったようです(一説には開湯は鎌倉時代とも言われます)。「加賀井の湯」としての正式なスタートは江戸中期と伝わるそうで、1760年代に時の松代藩に加賀井の村の人たちが正式な温泉としての許可を求め、認められたそうです。以来およそ240年の歴史を守る加賀井温泉の湯治宿、それが「一陽館」です。(但し今の建物は昭和初期のものだそうです)。
  加賀井の湯は典型的な「鉄分が酸化することでオレンジ色になる“鉄分を豊富に含む炭酸食塩泉”」です。正式な泉質は“含鉄ーナトリウム・カルシウムー塩化物泉”です。この手の湯は空気に触れる前は完璧に「透明」で同じく触れる前には二酸化炭素を豊富に含んでいますが、大気と出会った瞬間二酸化炭素はどんどん遊離し、なので泉源ではむせかえるような息苦しさを覚える・・・といったものです。湯は鉄分が酸化することでさび色(美しいオレンジ色)に変わり、更に様々なミネラルが同様に化学変化して析出物でいっぱいになります。
  実際一陽館の湯は今述べた点は全て該当しており、その上なめるととんでもなくしょっぱく、苦いです。この温泉はつい先年まで湯治宿として宿泊もできましたが、現在は日帰り利用のみです。浴場は内湯と露天が1つずつ、湯量が大変豊富で泉質もすばらしく、浴場そのものにも大変風情があり、温泉ファンには有名すぎるくらい有名です。実際本当に万人に「ここはいいよ〜。行って後悔はないと思うよ〜〜」といえる温泉はそうたくさんはないですが、ここはそんな「間違いのない温泉」の1つです。訪問に際しては一つだけ、アドバイスを。女性は汚れても良い大きなタオルを用意することをお勧めします。これは露天風呂を利用するときに必要なのですが、一陽館の露天は混浴の上、なんと内湯から直接出ることができません。一旦内湯の元入った入り口からでて男性も通るのと同じ道を5〜10b歩かねばなりません。露天側には脱衣所はあるのですが、原則としては内湯から服を持たずに移動というような説明を受けますので「移動中にかくすもの」として大きなタオルが必要となるわけです。一旦入ってしまえば湯は全く透明度のない濃いオレンジ色ですので、湯船内ではタオルを巻く方はいません。


久々の当研究所サイズの画像。これはなかなかの自信作です。 いかがですか。これが一陽館の湯(露天)です。美しいです。

  そして湯屋造りの内湯。湯船はひときわオレンジが濃い湯が注がれ、長さは縦10メートルほどもあります。元々源泉が適温の40〜41度(露天はもっと低いかも?)という絶好の温度の湯ですので、季節に応じて長湯が楽しめます。   また画像の通り、脱衣所一体式となっています。この作りは九州に行きなれている方はそんなに珍しくは無いと思いますが、長野県では主だったところではここと野沢温泉位しか思い浮かびません。

2003年と2005年訪問のレポです。
  松代温泉の集落の中に案内が出て最終的に右の画像の様な奥が行き止まりの一本道にこの看板が出ています。   この道は全て駐車場のように見えました。一番奥まった場所が一陽館の施設の敷地です。
  看板の背後は川中島の戦いで上杉謙信が陣取ったとされる妻女山です。   松代温泉は町全体で側溝にオレンジ色の水が流れているイメージがある場所です。
  この看板はすでに立てられて数年が経過しているはずです。なので240年前としています。加賀井の村人が松代藩に許可を求めたのは正確には1766年だそうです。   初訪問時は晩秋の11月でした。紅葉には遅いかな?と思いましたが、一本だけ見事な色でした。
  この秘湯会とは“信州内”の温泉のいくつかが加盟しています。   湯小屋。これは内湯です。その後ろは休憩所の一つです。
かつて宿泊できた方の建物。   加賀井の湯源泉。初めて行かれる方は必ずふたを開けて中を見ることができます。そのときにちょっと儀式もあるのですが・・・・・。まあ、行かれる方は皆経験していますので皆さんもお楽しみに。
男湯入り口。   露天風呂は内湯のすぐ横にありますが、移動には左の画像の扉を出て女湯の前を通り歩いていかねばなりません。この画像のトイレはその途中にあります。
鮮やかな赤色の紅葉。 成分表。
  休憩所は2階建てになっており、当研究所は使用したことはありませんが、皆さん二階でお休みのようでした。   湯小屋側面。歴史のある湯屋造りに見えます。湯気抜きが湯小屋の格を決定づけますね。
内湯正面。 入り口から内湯内部。
  見事なオレンジ色の湯は季節や時間帯、光の加減により微妙な変化を見せます。   朝一番で訪問したときには朝日の直射日光が入り、露出がぐだぐだになってしまいました。
  この天井部のみの画像を見たら、ここは九州だと錯覚する方がいるかもしれません。 内湯の湯の流入口。
湯の表面に膜が張っていました。 あちこちが千枚田状態。
赤色の帯。 斜めにしてやっと端から端まで入りました。
  また別の時の内湯。この時が一番美しかった印象があります。 う〜ん美しい。
  露天は上手に温度管理され、左右で湯の流量が異なります。   その温度差で左右の微妙な色の違いが生まれるそうです。
こちら若干暖かい方。 こちらのんびり長湯派の低温漕。
  内湯から露天への移動の途中で一回湯船が見えますが、太い配管がありここからは行きづらいです。 露天側の脱衣所方向。
  どの方向から撮影しても絵になる温泉です。 もういいですか?
下:露天横の配管。長湯温泉を思い出します。 下:析出物でドームが誕生しつつあります。
  春や秋の気候がよい季節に行くとやみつきになる温度です。 皆さんもいかがですか?


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