温泉文化研究所特別企画

仁寿湯 追悼企画

  現在発行されている別府の公衆浴場マップには100軒弱の共同湯の名前が記されており、多くの方がこのリストと別府八湯温泉道に参加している共同湯のリストを元に温泉巡りを楽しまれていると思われる。
  別府の共同湯は年々減少の一途をたどっており、現在の公衆浴場マップですら、その記載されている温泉にはすでに完全廃止され、今では施設の痕跡すらなく、更地になってしまっている場所や”ジモ化”され、我々旅の者は通常では入浴できない”一般外来入浴不能”をうたっている施設さえあるほどで、別府に魅了された多くの方が毎年ため息をつくような事態が緩やかに進行している。
  ところで、この公衆浴場マップ、実は今までも少しずつ変わっている(減っている)のだが、たまに劇的なモデルチェンジをすることがある。当研究所はその劇的な変化を一回だけかいま見ることができる旧版の公衆浴場マップを1部所持しており、その旧版マップ(平成7年度版)には実に173軒の施設名が記載されていて、そのうち、当研究所の研究対象とはなり得ない例えば「ひょうたん温泉」や「スギノイパレス」などの施設12軒を除いても『161軒』の施設が記されているので、今の現行のものと比較すると一気に三分の二に割愛されたことになる。このリストを用いれば、現在の公衆浴場マップと温泉道のリストを合わせたよりも多い施設が載っているので、手にすれば温泉巡りが一層便利になり、また熱が入る代物である。当研究所はこの旧版の公衆浴場マップに掲載されている施設を全てまわり、その後、次なる目標を据えたとき見えたもの、それがこのお話の主人公”仁寿湯”だったのである。
  仁寿湯はマップや他人の情報に頼らず、自力での浴場施設探索を始めた際、160軒以上も共同湯が掲載されている旧版のマップにさえ取り上げられていない施設があると言うことを気づかせてくれるきっかけになった施設である。”旧版の公衆浴場マップにも取り上げられていない施設”で”きちんと看板が出ているもの”は現在別府でも片手に入るほどしか存在しない。そんな貴重な施設がこの度、完全に役目を終え、取り壊し、更地に戻された。思い出深い仁寿湯を追悼し、ここにそれを偲ぶ。


温泉文化研究所(HOME) 》 別府温泉組合員専用共同湯(ジモ泉) 》  NO.31 仁寿湯


仁寿湯
  仁寿湯は鉄輪温泉のエリアにある小さな小さな共同湯です。独自源泉を持たず、旅館から湯を分けてもらう形で存続していたこの共同湯は、旅館の源泉の縮小、再度に渡る源泉掘削の試みの中での良泉の探り損ない、更に利用者減も逆風となり、この度正式に廃止されることになったとのことです。残念です。ここに再び消えた別府の灯火を惜しみ、施設の概要を振り返ります。

この共同湯は2007年8月に廃止されました。

  いつものごとく、細い路地がありましたので、「念のため」ということで奥まで歩きました。すると・・・・。
  なんと!左右対称に美しく並ぶアルミのフラッシュドアより先に、この左の注意書きが目に入ってきました。
  そして見上げるとこの立派すぎる看板。
  ご覧の様に湯小屋の前は丁度扉を開ける分のスペースしかなく、ほぼ真横から斜めに視界に入ってきたので、先に注意書きなどが見えたのです。
  こんな感じです。
  内部は意外に天井が高く、しっかりとした骨組みでした。
  風が抜け、気持ちよかった記憶があります。
  このようなちょっとしたアイテムが一層浴舎の渋さを引き上げます。
  湯船は大人2人用の大きさのコンクリート打ちっ放しでした。見学のみの許可だったので、これが男湯か女湯かはわかりません。
  源泉はかなり熱く、水と同等量くらいが絞って注がれていました。
  鉄輪の湯らしくちょっとしょっぱい塩化物泉です。

  奥まで入った方がむしろ広くなっているという不思議な敷地でした。

  今はこのアングルから見た状態に湯小屋が何もなく、土台のコンクリートのみが残る状態になってしまいました。


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